目次 |
■インドでのアーユルヴェーダパンチャカルマ体験 |
■アーユルヴェーダの施術は大きく分けて2種類 |
■パンチャカルマの施術プロセス |
■パンチャカルマの浄化効果と身体への影響 |
■インドでのパンチャカルマの施設紹介 |
■パンチャカルマを体験する際の注意点 |
■パンチャカルマ後のアフターケア |
■アーユルヴェーダ治療やパンチャカルマを受けてみて |
インドでのアーユルヴェーダパンチャカルマ体験
アーユルヴェーダの施術は大きく分けて2種類
パンチャカルマ(Panchakarma)は、アーユルヴェーダの伝統的な浄化療法の一つで、心身のバランスを整えるために行われます。
もう一方でパンチャカルマ以外の施術は、緩和療法と呼ばれ、パンチャカルマの前施術として行われたり、ドーシャのバランスを整える、特定の症状を和らげる方法があります。
日本で行われているアーユルヴェーダトリートメントのほとんどが、緩和療法です。リラックス効果、血流がよくなるなど様々なメリットがありますがパンチャカルマはこれらとは別の療法になります。
韓国で整形手術を受けたり、アメリカで心臓手術を受けるのと同様、国の規定によってアーユルヴェーダの施術は現地と同じように受けられません。
ここでは、パンチャカルマを通算10回以上受け、その恩恵を感じた筆者がアーユルヴェーダにおけるパンチャカルマの魅力や注意点、インドで受けるアーユルヴェーダトリートメントのメリットをお伝えします。
インドで受けるパンチャカルマの基本概念
パンチャカルマの基本概念は、体の老廃物とともに(目にみえない)過剰なドーシャを体の外に排泄するためです。
科学的に国全体で研究されていますが、ドーシャという独特の概念が根底にあるので誤解されている点もたくさんあります。
パンチャカルマには、5つの浄化法が存在します。
ヴァマナ 嘔吐療法
ビレチャナ 下剤療法
ヴァスティ 浣腸療法
ナスヤ 点鼻法
ラクタモクシャナ 瀉血法
これとは別にパンチャカルマは「前施術」「本施術(上記5つのどれか」「後施術」の3段階に分かれて施術を行います。
施術方法は患者さんによって異なります。どの浄化法にするのかはドクターが判断します。
前施術についても、薬を飲む人もいれば食事制限が入る人もいます。
さらにパンチャカルマは、健康な人も恩恵を受けられる施術です。
パンチャカルマは、体内の毒素や不純物、過剰なドーシャ(目にみえないが増えすぎると疾患を生み出す)を排出することを目的としています。
前施術として行われるオイル療法、発汗療法は、事前に体内のアーマ(毒素)を除去しやすくします。
パンチャカルマ(本施術)を行うことで、自己治癒力をサポートしつつ体内の浄化を後押しすることで、心と体のエネルギーレベルが高まるとされています。
インドでのパンチャカルマの重要性
インドにおけるパンチャカルマの重要性は、アーユルヴェーダの基本概念と密接に関係しています。
伝統医学によく用いられる「五大元素」の考え方です。中医学や世界の伝統医学には共通点が多くあり、アーユルヴェーダはその最古の智慧です。
パンチャカルマは、インドの伝統医療であるアーユルヴェーダの中心的な浄化療法であり、心身のバランスと健康を保つためには不可欠と言われています。
パンチャカルマは以下の点で特に重要です。
アーユルヴェーダの健康の定義は、単に肉体的な問題ではなく、精神的、感情的なバランスとも密接に関連しています。
パンチャカルマは、心身の浄化を通じて、ストレス、感情の乱れ、精神的疲労を軽減し、全体的な調和を促進します。
特にシロダーラなどの施術は、深いリラクゼーションをもたらし、精神的な安定を助けます。
またアーユルヴェーダの基本的な考え方では、自然と調和した生活が重視されており、パンチャカルマはその哲学に深く根ざしています。
自然の力を借りて、体内の自然なリズムを取り戻し、自己治癒力を高めるという考えは、現代の環境問題やストレス社会にも適合しています。
パンチャカルマの施術プロセス
初日、問診とコンサルテーション
パンチャカルマを受ける前に、問診(記入式や口頭で質問していく方法もある)とコンサルテーション(脈診や触診、見診なども行う)があります。
現状の患者さんの症状をみたり、過去の病歴や遺伝、患者さんの消化力や、普段の日常生活を尋ねます。
患者さんの症状によっては、血液検査のレポートやレントゲンなども調べます。
コンサルテーションは、30分以上かかる場合もあります。
患者さんの話し方・話すスピードからも個々の特徴(体質による傾向)が理解できるのでコンサルテーションは非常に大切なのです。
トリートメントの種類と流れ
コンサルテーションが終わると、パンチャカルマの「準備」が始まります。
残念ながら、発熱がある人、生理中の人、症状がピークに達し一刻も早い治療が必要な人、などはアーユルヴェーダ治療は向いていません。
発熱がある人、症状がピークな人はまず投薬で状態が落ち着いてからパンチャカルマを行います。
インドでは西洋医学も伝統医学も、患者さんが好きに選べます。
西洋医学と比べるとパンチャカルマは非常に時間のかかる施術です。体力もある程度必要です。
パンチャカルマの工程は3段階あり、施術を受けるのは前施術と本施術の時です。
前施術は、オイル療法、発汗療法、投薬や食事法の3つを患者さんに合わせて処方します。
オイル療法は、外用と服用(ギーを飲むなど)があり、本施術までに血流をよくし、筋肉の弛緩を促したり、良質な薬効成分が含まれた油分を体にしみこませるためです。
オイル療法と発汗療法は必ずどちらも行います。
期間は、ドクターが患者さんをみて決定します。7日間、または14日間、最長21日間行われます。
治療で結果をだしたいなら毎日連続して受けなくてはなりません。インドにはそのための入院施設があります。
実は、一回のパンチャカルマで100%毒素が排出される保証はありません。
しかし、定期的にパンチャカルマを受けることで体は間違いなく免疫力や自己治癒力が高まります。
パンチャカルマの後、後施術は患者さんによってさまざまです。主に投薬や食事指導・日常生活改善が中心です。いかなるトリートメントもパンチャカルマの後は数日あけます。
どんなにパンチャカルマをうけても、その後の生活や食事が偏れば病気の再発もあるのです。
パンチャカルマ後の生活をいかに改善できるかが、成功の秘訣もいえます。
パンチャカルマ浄化効果と身体への影響
パンチャカルマには、5つの浄化法が存在します。
ヴァマナ 嘔吐療法
ビレチャナ 下剤療法
ヴァスティ 浣腸療法
ナスヤ 点鼻法
ラクタモクシャナ 瀉血法
パンチャカルマ(Panchakarma)は、アーユルヴェーダ医学における総合的な浄化療法で、心身のバランスを取り戻し、毒素を排出するための古代の実践法です。
「パンチャ」(5つ)と「カルマ」(行為)という名前の通り、5つの主要な浄化プロセスで構成されています。
これらのプロセスは、体内の毒素(アーマ)を除去し、健康を回復させるために使われます。
主な体への主な影響は次の5つです。
体の浄化とデトックス: 毒素や老廃物を体外に排出することにより、内臓や組織の機能が改善されるとされています。消化力が高まり、代謝が整う効果が期待できます。
ストレス軽減と精神の安定: パンチャカルマのプロセスは、体内のエネルギーを再調整し、心身のバランスを取り戻すため、精神的なストレスや不安の緩和に役立ちます。
免疫力向上: 体内の毒素が取り除かれることで、免疫力が強化され、病気に対する抵抗力が高まると考えられています。
若返り効果: パンチャカルマは細胞や組織の浄化を通じて、若返りやアンチエイジング効果をもたらすとされています。
消化器系の改善: パンチャカルマの後は、消化力が向上し、栄養の吸収がよくなるため、全体的な健康状態が改善されます。
パンチャカルマは非常に強力な療法であり、専門家の監督下で行う必要があります。
体質や健康状態に応じて調整されるべきであり、適切な準備段階やアフターケアが不可欠です。
パンチャカルマの浄化効果は、心身の両面に及ぶため、デトックスだけでなく、精神的な安定と長期的な健康促進が期待できます。
インドでのパンチャカルマの施設紹介
アーユルヴェーダ宿泊施設と滞在環境
パンチャカルマを実施する施設や環境は、その効果を最大限に引き出すために重要な役割を果たします。
伝統的に、パンチャカルマはアーユルヴェーダの専門施設で行われ、特定の条件や環境が整った場所で実践されます。
パンチャカルマを受ける施設や環境に求められる要素について説明します。
施設の特徴
アーユルヴェーダ専門のクリニックやリトリート
パンチャカルマを行う施設は、アーユルヴェーダ医学の専門知識を持ったBAMS医師や施術者が常駐していることが一般的です。
これらの施設は、インドやスリランカなどアーユルヴェーダの本場だけでなく、世界中に広がっており、自然に囲まれたリトリートやスパ、クリニックで提供されています。
BAMSと呼ばれるアーユルヴェーダ医師免許を持っているドクターが在住し、日頃現地の患者さんにもパンチャカルマを行っている施設が理想です。
衛生的でリラックスできる環境
施術は心身の浄化を目的とするため、施設は清潔であり、リラックスできる落ち着いた雰囲気が必要です。
静かな自然環境に立地していることが多く、心地よい音楽や香りが使われ、リラクゼーションをサポートします。
専用の治療室と設備
各プロセスに適した専用の治療室や設備が整っていることが重要です。例えば、バスティ(浣腸療法)やヴァーマナ(催吐療法)に使われる設備がしっかり管理されている施設が推奨されます。
施術者の専門性
アーユルヴェーダ医師の監督
パンチャカルマは個々の体質や健康状態に合わせてプログラムがカスタマイズされます。
アーユルヴェーダの医師がその人のドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カファ)のバランスを見極め、適切な治療法を指導します。
経験豊富なセラピスト
各プロセスは、経験豊富なセラピストによって慎重に行われる必要があります。
例えば、バスティやヴィレチャナのような浄化プロセスでは、施術者の技術が結果に大きな影響を与えるため、資格や経験が求められます。
自然環境と施設の設計
自然に囲まれた環境
多くのパンチャカルマ施設は、自然の中に位置し、静かで平穏な環境が提供されます。
山々や森林、海辺のリトリートなど、自然と調和する場所は、心身をリラックスさせ、治療の効果を高めると言われています。
デリーやプネなど都市部では、一般の患者さんが通いやすい立地にクリニックがあります。
アーユルヴェーダ的な建築とインテリア
一部の施設によっては、リゾートとアーユルヴェーダを融合したようなものもあります。
伝統的なアーユルヴェーダの建築様式やインテリアデザインを取り入れています。木材や天然素材を多用した空間で、シンプルながらも温かみのあるデザインが施されています。
これは、五感をリラックスさせ、浄化プロセスを助ける目的があります。
滞在プログラム
完全な滞在型プログラム
パンチャカルマは通常数日から数週間にわたる滞在型プログラムが理想です。施術を受けている間は、患者さんは自分に目を向け体の変化を感じるべきだからです。
患者は施設に滞在し、専門的なケアと食事、アーユルヴェーダの施術を受けながら、体を整えていきます。
パンチャカルマの期間中と術後は、特定の食事や生活習慣が推奨され、心身の浄化を最適化します。
食事について
施設では、消化を助け、毒素を排出するためのアーユルヴェーダ食が提供されます。アーユルヴェーダ食といっても特別なものではありません。
主に新鮮な野菜、ハーブ、穀物を使ったシンプルで滋養のある食事が中心となります。基本は温かく、汁気のある柔らかい食べ物、新鮮な果物など加工されていないものが多いです。
その他のサポートサービス
ヨガと瞑想のセッション
パンチャカルマのプロセスをサポートするために、ヨガや瞑想のクラスを受けるのはとてもいいことです。
これにより、心身のリラクゼーションや浄化の効果がさらに高まります。適度な運動は血流をよくし食欲を回復させます。
アフターケアとアドバイス
パンチャカルマの後も、日常生活でのバランスを維持するために、食事や生活習慣に関するアドバイスが提供されます。これにより、浄化された状態を長く維持できるようになります。
パンチャカルマを体験する際の注意点
パンチャカルマを体験する際には、体と心の浄化を促進するためにいくつかの注意点があります。
パンチャカルマは非常に強力な浄化療法であり、適切な準備とアフターケアが必要です。
また、個人の体質や健康状態によっては、特定の制約やリスクが伴う場合もあるため、事前に注意することが大切です。
専門家の監督が必須
パンチャカルマは、アーユルヴェーダの医師や専門家の監督下で行うことが非常に重要です。以下の理由から、自己判断での実施は避けるべきです。
インドのアーユルヴェーダクリニックでは、患者さんの希望でパンチャカルマメニューが決められることはありません。
あくまで、コンサルテーションの結果から健康であってもその患者さんに適した施術を決めるのドクターです。
パンチャカルマは健康な人もそうではない人も受けられます。問診で、パンチャカルマが適しているかどうかをドクターが判断します。
個々の体質に応じた治療法の調整
各個人のドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カファ)のバランスや健康状態に合わせて治療法をカスタマイズする必要があります。
パンチャカルマは、時に体内から急速に毒素を排出するため、強い身体的反応が起こることがあります。(好転反応)
毒素は肉体的だけではなく、精神的なものもあります。パンチャカルマ中は、集中して自己観察を行う時間にあてるべきです。
専門家がいれば適切に対応できますが、監督がなければリスクを伴う場合があります。
体力と健康状態のチェック
パンチャカルマは、健康維持や病気予防に役立つものですが、特定の健康状態や体力の低下がある場合には注意が必要です。
問診の際は、今までの病歴や過去に起こった変化をドクターに伝えましょう。
重病患者や弱っている人は注意
現在、癌、妊娠中の女性、非常に虚弱な人、あるいは最近手術を受けたばかりの人は、パンチャカルマの一部プロセスが強すぎるため、避けた方が良い場合があります。
持病や薬の影響
持病がある場合や薬を服用している場合は、必ず医師に相談し、適切な治療計画を立てる必要があります。
心の準備とメンタルケア
パンチャカルマは身体だけでなく、心にも影響を与える浄化療法です。
治療中は、心のバランスを保つために精神的な準備も必要です。
感情の浄化
パンチャカルマ中に、過去の感情やストレスが表面化することがあります。
瞑想や呼吸法、軽いヨガなどで心を落ち着かせ、感情の変化に柔軟に対応することが推奨されます。
ストレスを避ける
治療中は、ストレスの多い状況や過度な肉体労働、激しい運動を避けるようにし、体と心を休めることが大切です。
言語の問題と通訳の手配
インドと日本の医療に対する認識の違いはかなり大きいです。
ほとんどのドクターは英語を話せます。しかし、日本の文化や日本人の体質を理解しているドクターは非常に少ないです。
通訳は言葉を訳す事のではなく、文化の違いや体質の違いも理解できる人を選びましょう。
パンチャカルマ後のアフターケア
アーユルヴェーダは日常生活や食事も治療の一つ
食事の管理パンチャカルマ後は徐々に通常の食事に戻していきますが、消化に負担がかかる食品はすぐには再開しないことが推奨されます。引き続き、軽くて滋養のある食事を心がけます。
ライフスタイルの改善
パンチャカルマ後の浄化された状態を保つために、ヨガや瞑想、適切な睡眠、ストレス管理を行うことが推奨されます。
十分な休息と体力回復
パンチャカルマは体に強い影響を与えるため、治療中および治療後には十分な休息を取ることが大切です。
体が再生し、元のバランスを取り戻すために、治療後もしばらくは軽い運動や休息を優先します。
施術後は患者さんによってさまざま
健康で元気な人ほど、パンチャカルマを受けてもあまり変化がありません。
1回の施術で改善しない場合もあります。
しかしアフターケアをきちんとすると、数か月後に気づいたら症状が軽くなったという経験を何度もしています。
パンチャカルマは魔法の特効薬ではなく、自分の自己治癒力を引き上げてくれる療法です。
体の中の毒素が表面化するため症状として現れる場合もあります。これは1000人いたら1000人の結果があるといっても過言ではありません。
自己責任とインド文化の理解を持つ
日本の常識というものは、国が変われば通用しません。
インドの文化や風習、アーユルヴェーダという伝統医学の知識、これらを少しでも施術を受ける前に理解しているとより回復に向かいやすいです。
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アーユルヴェーダ治療やパンチャカルマを受けてみて
最後に、過去17年間で、10回以上パンチャカルマを体験した個人の感想を述べておきます。
1. 普段から西洋医学の薬を飲んでいた場合、疾患が長引いていた場合、体の中に蓄積されているものが排出されるのに時間がかかる事があった。
2. 施術後すぐではなく、1か月~2か月間、食事療法を守って規則正しい生活ができた後、じんわりと効果が表れる。
3. 痛みや変化を伴う人もいれば、何もない人もいる。人によって結果は違う。
4. 肉体的な効果はもちろん、精神的な安定や、考え方、正常な判断ができるようになる。
稀に、パンチャカルマを受けて、ひどい症状が襲う人もいます。
それは、体の中にどれだけアーマが蓄積されていたかによって比例しているように感じます。
パンチャカルマは、まるで部屋の掃除です。
毎日ちょっとずつやればいつでもきれいなのに、ゴミやほこりをためておくと、いつか大掃除が必要になります。
大掃除は、普段よりも手間もかかるし、時間も長い。体も心も掃除することですっきりします。
インドでだからこそ受けられるパンチャカルマ。
勉強すればするほど、なぜたった五つの治療法が、健康を維持し、又はありとあらゆる疾患を治癒するができるのかわかります。
皆さんの毎日の健康法の一つの選択肢が増え、さらにハッピーに幸せになれますように。